最終水曜日、午後8時、お馴染み 丸山塾の時間である。
急患の対応で、予定出発時刻が大幅に遅れてしまったと、7時59分に荒い息をしながら、ドタドタと階段を駆け上がる音がした。
時森先生(通称:マサ)である。
静岡の瀬名からの出席で、大変ではあるが、時間厳守の丸山塾。
どんな理由があろうとも、1秒でも遅刻したら、罰金1万円である。
過去には、マサ一回、私塾長が一回、支払いをしている。
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さて、8時丁度、丸山塾の塾訓斉唱で丸山塾スタート。
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丸山塾は、4つの課題が課せられている。
1つ目は、塾生が事前に選んだ共通テーマについて発表する課題(1人5分)。
2つ目は、読書感想。
3つ目は、塾生の好きなテーマについての発表するフリー演題(1人15分)。
4つ目は、塾長が出した課題の発表(1人5分)。
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まずは一つ目。
今日の共通課題は、戸塚先生(通称;ユー)が選んだ、「暫間固定~外科編、歯周病編、矯正編~」。
暫間固定とは、読んで字の如し、暫くの間、つまり一時的に、強力ボンド、ワイヤーやファイバーテープを利用し歯を固定する方法である。
治療方法が確定する間、抜歯の適応ではあるが全身疾患により抜歯できない時、炎症が治まるまでの間・・・・・など様々な場面で行われる、日常的な治療方法ではあるが、改めて突き詰めると、なかなか奥の深いものであった。
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たかが5分、されど5分。
ワードで書いた発表内容を、5分間で発表していく。
意外と長い時間である。
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発表後は、塾長である私の揚足取りや意地悪な質問攻撃が始まる。
塾生の困った顔が見るのが至福の楽しみである。
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質問攻めの後は、ホッと一息、弁当タイム。
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次は読書感想タイム。
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ユーは、「幸福な時間」。今、最も注目を集めている作家と言っての過言では無い、百田尚樹の本。
物凄く読みたくなったので、早速明日買いに行こうと思った。
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マサの本は、「残念な人の仕事の習慣」

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私の本は、「暇と退屈の倫理学」。
入学試験の国語の問題に出て来そうな難しい内容であった。
半分ほどしか理解できなかったが、ニーチェ、パスカル、マルクス、ハイデッカー、ラッセル、スベンセン、デカルト・・・・・・歴史上の多くの思想家の考えを元に、人間の暇と退屈の倫理を深めていくという内容。
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中でも、興味深かったのは、科学の発展のよって人類は時間、つまり暇な時間を獲得した。
その時間の使い方によって人間は不幸にも幸福にもなる。
不幸の反対は幸福ではなく、”興奮(刺激)” であるという文面であった。
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確かに、私も、開業し、運良く何とか仕事も順調に進み、時間の余裕が生まれた。
仕事一本で突っ走って来た10年間から健康不安もあり、ジョギングを始めたのが7年ほど前の話。
無理するなと言う、かみさんの反対を押し切り、駿府マラソン5キロの部にエントリーし、酸欠寸前でゴール。
その時の興奮、レース本番独特の高揚感、学生時代に熱中した空手の試合当日の何とも言えない緊張感、高揚感が蘇り、やみつきになった。
5キロでは飽き足らず、10キロにエントリー。
更なる興奮、刺激を求め、ハーフマラソン、フルマラソン。
しして今年の夏には、トライアスロンデビューへと突き進んだ。
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ここまで来ると健康のためではない、逆に不健康かも知れないと思う。
健康だけを考えるなら、ウォーキングや軽いジョギングの方が良いかも知れない。
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しかし、それでは興奮が無い、刺激が無い、高揚感が無い。
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人間の幸福論を哲学的に深めた本の中で、自分が求めているものが何となく見えた気がした。
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続いて、3つ目、4つ目の課題へと進む。
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最後は塾長総括。

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今日は、氾濫する情報社会において、何を信じ、何を臨床の場で応用すべきかを、私の24年間の臨床経験を元に、語らせてもらった。
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しかし、一ヶ月という期間があるとは言え、4つの課題をしっかりとこなすのは大変な労力がいる。
そんな苦労を感じさせないギラギラとした眼差しで熱く発表するマサとユーの瞳の奥に、患者さんに対する熱い想い、仕事に対する真摯な想いを感じた。