宇津の谷峠越え
現在二人の息子は静岡市の高校に通っている。
震災が起きたら、無事に自宅に帰って来れるだろうか?
親として心配になる所だ。
しかし途中に山が立ちはだかる。
車で来ると分かるが、2000メートル級のトンネルがある。
大崩を通るルートもあるが、海沿いであり、車線も狭く危険である。
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そんな時、エコマネージ社長の藤田さんから、宇津の谷峠を通れば歩いても行けることを聞いた。
早速、インターネットで調べてみると、なるほどちゃんとルートがあることが分かった。
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昨日は安倍川花火大会で静岡に宿泊したので、今日は絶好である。
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己の足だけで、自宅まで帰れることを親として実践してみよう!そう思った。
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今日の為に購入したトレイル用のリュックサックを背負い、午前10時JR静岡に向かった。
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最悪の状況を想定し、携帯電話、タクシー代はリュックにイン。
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一号線沿いを暫く走ると道の駅 宇津の谷峠の表示が見えてきた。
道の駅 宇津の谷峠はトンネルの直前に位置し、そこの歩道橋を渡れば歩いて宇津の谷峠越えができる県道208に出る筈だ。
道の駅には歩道のコースが表示されており、その図を確認し進むことにした。
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歩道橋を渡り100メートルほど行くと、県道208の標識があった。
この道を行けば、峠越えができるぞ!
どんな道だろか、険しいのかな~~?
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峠越えと言うので、険しい道を想定していたが、県道だけありしっかりと舗装された道であり、ちょっと拍子抜けしてしまった。
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しかし、一か所だけ約200メートルのトンネルがあることがリサーチで分かっている。
そこが関門になりそうだと予想している。
しかし、車は一台もなく、この熱い道中、ひんやりと涼しく関門どころか救いの場所となってくれた。
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しかし今日は蒸し暑い。
熱中症になったら洒落にならない。
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ふだんあまり汗をかかない私も汗びっしょりである。
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体全体が火照っている、そんな感じである。
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大旅籠柏屋とある。
「氷下さい。」と言うと、中へ案内される。
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品川数えて、東海道21番目の宿「岡部宿」だそうだ。
その中で、この柏屋は殿様や大名など位の高い人が泊まった、現代版、超高級旅館であったらしい。
中は広く、庭園も綺麗で、初めて来たがなかなかの場所であった。
氷の販売店員の方が、丁寧に詳しく説明してくれた。
暑さも吹っ飛び、自宅に向け再出発。
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途中、3回自動販売機で水を購入し、半分飲み、半分頭からかぶり、何とか自宅に辿り着いた。GARMINの時計で31キロ。ちょっと寄り道した(実は一箇所、道を間違い、1キロほどロスしてしまった。)ので、実際は静岡駅から自宅まで30キロと言ったところだろうか。
今日は暑くて、結構きつかったが、己の足だけで静岡から自宅まで帰って来られることが証明できたので、早速二人の息子に、いつもの様にちょとだけデフォルメして報告した。
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2人の息子は暫くの無言の後、小さな声で「うん。」とだけ返事した。
心の中では「お父さん、すげ~~~!さすがは俺の親父だ!」なんて思う筈もない。
「は~~~?お父さん、こんな暑い日に何やってんの?バカじゃね~~の!」
そんな息子の心の声が、私の心に、こだました。