避難訓練
恵空館道場では、時々、避難訓練を行っている。
だいたい師範が用で不在の時に、行うようにしている。
今日は、師範が用事で不在であったため、久しぶりに避難訓練をしようと考えていた。
当然、生徒も父兄も知らない。
突然するのがミソである。
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突然、私が叫んだ。
「地震だ~~~~!頭を手で覆って伏せろ~~~!」
生徒も、待ってましたとばかり、反応は良い。
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「揺れはおさまったから、避難だ~~~!」
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生徒は、嬉しそうである。
下は小学校1年生、上は高校3年生、一般の方までが居る。
指導員として、全ての生徒の命を守らなければならない。
空手を教えるのも大事であるが、命を守るのはもっと大事である。
避難場所まで約1キロ。
小学校低学年は、出だしは元気いっぱいであったが、500メートルも経過すると急に減速し始めてしまう。
小学校低学年には長距離である。
しかし、実際に、もし津波でも来たら、そんな事は言っていられない。
走るのが得意な生徒も居れば、苦手な生徒も居る。
中には、歩き出す生徒も出てくる。
「こら~~!歩くな~~、走れ~~~!」
「お腹が痛いんです。」
「アホか~~、津波が来てるぞ~~、歩いたら、津波に飲み込まれて死んでまうぞ~~!走れ~~!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
涙目になりながら、早歩きし出す生徒。
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避難場所の〝丸八村松さん” で休憩。
「お~~い、みんなよ~~く聞け~!腹が痛いから歩いて津波に飲み込まれて死んでしまうのと、痛いのを我慢して走って命が助かるのと、どっちがい~~か?」
「我慢して走る~~。」
「そ~~だろ、そ~~だろ~~命が大事ぞ。お腹が痛い時は、痛い所を手で強く押しながら走れ!そ~すれば大丈夫だ。良く覚えておけよ。分かったか。」
「オ~~ス。」
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小学生相手の指導は、難しい。
分かったのか分かっていないのか、良く分からない。
返事だけの場合が良くあるからだ。
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さて、息が整った所で、帰りである。
低学年は、一足早くスタートを許可。
往復2キロ、陸上部ではない空手スポーツ少年団にとっては、大変だろうが、大事な訓練と位置付けている。
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今後も、檄を飛ばしながらも、何があっても諦めずに必死に自分の命は自分で守ることを教えていきたい。