事件発生
朝6時に目覚めた。
ぐっすり寝ることが出来、心地良い目覚めである。
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朝食は8時と決まっているらしいので、まだ時間がある。
浴衣からジャージに着替えると、ルパンが起きて来た。
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家でも白衣からジャージに着替えると、散歩タイムだと判断し、私に引っ付いて来る。
ルパンの頭には、「ジャージ=散歩タイム」という公式がインプットされているようだ。
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海からの風が強いが、我が大井川町にはないこの感覚は、旅行に来た感があり、何とも心地良い。
ルパンもその快感を体中で感じている様だ。
早朝だからか、昨日は賑わっていた海も、今は誰も居ない。
これまた独占した気分になり、開放感がある。
気持ち良さそうなルパン。
一時間の散歩から帰っても、まだ時間があるので、朝風呂堪能。
さすがに、昨日、湯船に落ちて大失策したルパン。
湯船には近づこうとはしない。
犬とは言え、学習能力はあるのだ。
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8時、朝食の時間。
2階の個室に行くと、準備が出来ていた。
朝食と言うか、これはブレックファーストである。
普段は、納豆生卵ぶかっけご飯&味噌汁&野菜&ワサビ漬け という和食なので、洋食は実に新鮮である。
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土肥港からの出向は午後2時40分。
30分前の2時10分までに来るように言われていたので、時間の許す限り、観光することにした。
9時30分、仔犬のワルツを後にした。
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会計の時、写真を撮ってもらった。
南へドライブ。
途中、車を止め、写真撮影。
富士山が綺麗である。
車の中では、昨日のルパンの湯船にダイブした事件を何回も思い出し爆笑する私とかみさん。
この時は、まだ、これから起こる我が大失策を知らず、ルパンの失策を笑いながら、笑顔で能天気にも記念写真を撮る私。
チャンチャンチャ~~ン♪チャンチャンチャ~~~~ン♪
さすがに怖がるルパン。
無理矢理、急斜面を降り、ワンショット!
1時間30分ほどの散策を終え、車に戻り、時計を見ると12時。
そろそろ昼飯でも食べようか・・・・。
昼食を食べ、少し観光し土肥港に行けば丁度良い。
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車のエンジンをかけようと、いつもの様にブレーキを踏みながらスタートボタンをスイッチON。
・・・・・??????
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もう一度、ブレーキを踏みながらスタートボタンをスイッチON。
・・・・・??????
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っん??
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・・・・・??????
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エンジンが掛からない。
訳が分からない・・・・・。
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一度外に出て鍵を閉め、また中に入り、改めて、ブレーキを踏みながらスタートボタンをスイッチON。
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ウンともスンとも言わない。
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やばい。
20分程、いろいろと考えられる事を試みたものの、駄目である。
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仕方なく、カスタマーズサービスに電話し、症状を説明。
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「丸山様、バッテリーが上がってしまった可能性が高いですが、バッテリーでなければレッカー移動になります。直ぐに手配をお取りします。もしレッカー移動になりましても、50キロまで料金はかかりませんので、ご安心下さい。丸山様、今どちらに、いらっしゃいますか?」
「堂ヶ島公園の駐車場に居ます。」
「焼津市ですか?」
「いえ、西伊豆です。」
「西伊豆???ですか?????」
「ハイ、今、旅行に来てまして・・・・・・・・。」
「西伊豆・・・・となると・・・・・50キロを超しますね。業者の手配が出来次第、丸山様の携帯に折り返ししますので、少々お待ち下さい。」
14時にここを出れば、土肥港にはギリギリ間に合うだろう。
大丈夫だ!
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しばし車の中で待機。
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暫くすると電話が来た。
「もしもし~~」
「・・・・・・・・、何社かあたって見ましたが、一番早くそちらにお伺いできる業者さんが伊東市の業者さんで、今から直ぐに出発しても1時間30分~2時間掛かりますがよろしいでしょうか。」
よろしいも何も、こちらには選択肢は無いではないか。
「はい、宜しくお願いします。」
1時間30分であれば2時に到着、バッテリーなら時間は掛からないだろう。
ギリ間に合うだろう。
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持ち前のプラス思考で、そう考えていた。
1時間30分もあるので、その間に胃袋を満たすことにした。
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丁度、犬OKの食堂があったので、そこに決定。
かみさんは「刺身定食」。
私は、大好きな「イカ刺身定食」。
イカには目が無い。
刺身は全てイカ。
それにイカの塩辛。
ルパンは椅子にリードを固定し、休憩。
1時間30分経過した2時、まだ来ない。
車の中で待つことに・・・・・。
2時20分、まだ来ない。
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さすがに駿河湾フェリーは断念せざるを得ないという結論を出した。
フェリーに電話し、乗船をキャンセル。
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命まで取られる訳ではない。
ゆっくり高速でドライブだ~~~~!!
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こ~ゆ~~時は、落ち込まずに、笑おうぜ!!
「エンジンが掛からず車が動きましぇん、ど~~しよ~~もありましぇん、ハイチーズ!」
バカ夫婦である。
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2時30分、業者が来てくれた。
こんな大きな車なら時間がかかるわな~~~。
バッテリー充電してくれ、5分程でエンジンがかかった。
スイッチ式は、しっかりとブレーキを踏まずにエンジンを切ると、エンジンは切れてもスイッチが切れておらず、1時間程でバッテーリーが放電してしまうとの事。
「2時間程は、エンジンを掛けっ放しにして下さい。そうすればバッテリーが充電され大丈夫です。」
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と言う訳で、3時ちょい前、無事、堂ヶ島公園を出発。
車が動くという、ごくごく当たり前な事が、本当にありがたい事だと再認識でき、大変勉強になった。
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ちょっと寄り道をして、高速で帰宅。
さすがに、日が落ちるのが早いこの季節。
辺りはすっかり暗くなってきた。
普段は、夜は我々と一緒に寝て、診療中はず~~っと寝ているルパン。
1日5~6時間しか起きていないのではないだろうか。
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そんなルパンは、昨日、今日と、連れ回したため、ルパンにとっては睡眠不足。
車では助手席で、爆睡。
人生何が起こるか分からない。
今日の失策は、私の不手際によるもので、私の責任であるが、今まで、長く車に乗っているが、こんな経験は一度もなかったので、まさかこんな事が起こるとは思わなかった。
想定外の出来事であった。
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〝まさか” である。
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若い頃であれば、私もカリカリし、そんなカリカリした私を見かねたかみさんもカリカリし始め、険悪なムードになっていただろうが、我々も年を重ね成長した。
ハイチーズと写真を撮る余裕が出てきた。
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若さも良いが、年を取るのも決して悪くはない。
そう感じた、貴重な経験をした。
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年は取るもんではない、老いるものでもない、成熟するもんなんだ。
そう考えることにした。
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自分のミスを棚に上げ、相変わらずプラス思考な私であった。