褒め言葉
火曜日の午後8時15分から9時までは戸田兼介インストラクターによる「チャレンジスイ1500」に参加させてもらっている。
火曜日の楽しみである。
ここに参加するメンバーは、私からすると化け物集団であり、〝自分も追いつきたい” 〝自分もこうなりたい” 〝同じ人間だから、自分も頑張れば出来る筈だ” と勇気と希望と活力を貰える貴重な45分間である。
とても大切にしている時間だ。
1週間は1440分あるが、一番集中できる充実した45分間かも知れない。
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スイム、バイク、ランとトライアスロンの中で、スイムは最も苦手な種目である。
アイアンマンレースでのスイムは3.8キロ。
泳ぐ自信など全くない。
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何とかしなければ・・・・・・と思っていた矢先・・・・・・・。
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今日も、何とか必死について行き、何とかチャレンジスイム1500のメニューをこなすことが出来た。
定刻の9時に終了した時、K. Rさんから、戸田インストラクターによるスイムフォームのビデオ撮影会とフォームチェックを受けられるが、受けてみる?というお誘いを受けた。
またとないビッグチャンスである。
即答でお願いした。
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どこが悪いか見て欲しいと常々思っていたので、渡りに船である。
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9時15分から、ビデオ撮影会が始まった。
参加者は6名。
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敢えて言うまでもないが、私が一番ヘッポコである。
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上(プールサイド)からと水中からといろいろな角度からの撮影会が始まった。
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撮影会後は、戸田インストラクターから映像を見ての改善点のアドバイス。
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一人一人の映像を皆で見て、戸田インストラクターが、改善すべき点を指摘してくれた。
私は3番目。
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一人目の映像がパソコン上に映る。
まずは、良い点を褒めてくれ、その後に改善すべき点を的確にアドバイスしてくれるインストラクター。
な・る・ほ・ど。
自分の映像ではないが、勉強になるアドバイス。
参加したメンバーも、良い点を的確に褒める。
皆、褒め上手である。
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二人目。
同じく、良い点を皆で褒め、その後にインストラクターが改善点を的確にアドバイス。
流石!インストラクター。
他のメンバーも、すかさず良い点を見つけ出し褒める。
皆、流石!
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そして三人目は、いよいよ、私、丸山誠二の映像の登場である。
自分なりにイメージしていた自分の泳ぎの画像が私の頭の中にはあった。
7人で見る自分の映像と言うのは、何ともこっ恥ずかし~~が仕方ない。
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映像を見終わった後、戸田インストラクターの的確な指摘があった。
最初から最後まで、ず~~~っと力入りっぱなしで脱力がない、という指摘であった。
た・し・か・に・・・・。
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しかし・・・・・・何かが足りない。
何だろう??
そ~~褒める点である。
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最初から最後まで一言も褒め言葉は出て来なかった。
勿論、仲間の5人からも・・・・である。
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自分で言うのも何だが・・・・・褒める点はないのだ。
ま~~~、ハッキリ言えば、褒める点もないヒ・ド・イ!泳ぎ方なのだ。
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思わずパソコンの画面を手で隠そうとしたくなってしまった程だ。
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自分では、魚とは言わないまでも、魚に近い感じで泳いでいるつもりであったが、画像上では、溺れかかって必死でもがいているおっさんの姿だけが映し出されていた。
画像は、正直である。
最近のプリクラではないので、修正のない、そのままの姿が映っている。
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これじゃ~~、さすがの私も褒める点はなかろう・・・・・・・。
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しかし、しかし、神は居た。
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間が空いたが、Aさんの口が開いた。
「・・・・・・でも、最近、早くなったよね~~。」
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続いて、K.Rさんの口も開いた。
「・・・・・・でも、丸山さんの泳ぎって、元気だよね~~。」
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無理矢理、振り絞り出した力づくの褒め言葉2連発。
上手い!
この無理矢理感が、たまらない。
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「山田く~~ん、AさんとK.Rさんに座布団一枚!」
心の中で叫んだ。
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しかし、冷静に考えてみると、自分では見ていないが、他のメンバーは毎回、この私の泳ぎを俯瞰しているのである。
この無様な泳ぎを知らなかったのは、このメンバーの中で私だけであったのだ。
私からすると、他の5人の泳ぎはパソコン上で見ても、いつも見ているそのままの画像なので、特段驚きもなかったが、当の本人は、へ~~~っと興味津々である。
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自分の画像を手で隠そうとしたくなったのは事実であるが、そう思うのは自分だけで、皆の頭の中には既に見慣れた画像であるのだ。
時既に遅し、である。
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人生そんなもんであろう。
自分は気付いていないが、周囲の皆は気付いているってことは多いということを、改めて知らされた。
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良い人生勉強になりました。
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兎にも角にも、抜本的なフォーム矯正が必要なことが判明した。
本番のアイアンマンレースは来年の8月23日、まだ時間はある。
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「丸山誠二、お前はやれる男だ。心配するな。我流でやっていたので仕方ない。い~おっさんなのに、前を向く姿勢が素晴らしいぞ!頑張れ!」
最後に、自分で自分を褒めてみた。
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そ~~か!今度から、誰も褒めてくれなければ、最後は自分が褒めればい~~んじゃん!