久しぶりの鳥肌ニュース
夏期休暇の間中、私を釘付けにした出来事があった。
毎日、毎日、時間があればニュースでチェックし続けた。
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TJAR(トランスジャパンアルプスレース)である。
知らない方に、簡単に解説したい。
日本海・富山湾(富山県魚津市)をスタートし、北アルプス、中央アルプス、南アルプスと3つのアルプスを縦断した後、太平洋・駿河湾(静岡市駿河区の大浜海岸)をゴールとする、約415kmを8日間以内に踏破する、自分の限界に挑戦する山岳レース。
国際的なトレイルレースのもっとも過酷な部類Category ALに分類される。
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TJARの公式HP(http://www.tjar.jp/2014/about/index.html)には以下の文が・・・。
「息を飲むような雄大な眺め、漆黒の闇に浮かぶ仲間の灯、
烈風に晒され追いつめられる自分、悲鳴をあげる身体、
絶望的な距離感、何度も折れそうになる自分の心、
目指すのはあの雲の彼方。
日本海/富山湾から太平洋/駿河湾までその距離およそ415Km。
北アルプスから中央アルプス、そして南アルプスを、
自身の足のみで8日間以内に踏破する
Trans Japan Alps Race
日本の大きさを感じ、アルプスの高さを感じ、自分の可能性を感じよう。」
さらにコンセプトとして、
「TJARの創始者である岩瀬幹生が夢見た、3つのあるアルプスを繋いでの日本縦断。これを仲間と競ってみたい。そのスタイルは、多くの助け(エイド・サポート)を受けてのチャレンジではなく、自らの力で走破することを目指しています。限りなく自己完結したスタイル。山岳、気象、装備、危機管理、体調管理など様々な面において、非常に高いレベルの知識と経験を求めます。トレイルランニングをイメージする人も多いですが、考え方のべースはランニングではなく、登山そのものです。なんらかの事故やトラブルが起きても、全て自己対応となります。まずは、余裕を持って山で生活、行動できること。この資質を見極めるために、参加要件として少々厳しい条件を掲げました。趣旨をご理解の上でのチャレンジをお待ちしています。415kmを8日間で走破するだけでなく、途中で通過しなければならないチェックポイントは標高3,000mを超える場所が多く存在します。そんなレースには、参加したい人誰もが参加できるわけではありません。過去に70km以上のトレイルランニングレースを完走していたり、標高2000m以上の場所において10泊以上の露営経験があったりなど様々な要件を兼ね揃えた人だけが参加できるのです。こうして選ばれた者だけが参加できるにもかかわらず、前回大会(2012年)で28名中19名 、前々回大会(2010年)では23名中15名しか時間内のゴールができていません。タイムオーバーしてしまったり、リタイアを余儀なくされたりと、それだけ過酷なレースなのです。」
と続く。
山小屋での食事はOKだが、宿泊はNGである。
テントを張って寝るか野宿である。
半ば命を賭けたCategory ALの過酷なレース。
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上記の参加条件を満たせば皆参加できるわけではない。
選考会があるのだ。
今回の選考会では、37人が挑み11名が不合格となり、前回大会完走者11名を含めた37名が一次選考を通過し、二次選考で26名に絞られたようだ。
それでも、本選では何人かが低体温症やタイムリミットにてリタイヤ。
これだけ聞いただけでもその過酷さが分かる。
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8月10日(日)にスタートし、8月17日(日)24時がリミット。
初日に台風11号が通過し暴風雨の状況下でのレース。
上位10選手は山小屋で待機中、「全選手の無事が確認できなければ先に進むことはできない」と発言したというニュースは、私の心に響いた。
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そして、かみさんの実家から帰る新幹線の中で、「1位の望月将悟選手が5日と12時間57分で大浜海岸でゴール、大会3連覇」との速報を見た。
全身に鳥肌が立った。
5日と12時間57分って?何それ?この真夏に?台風も来ていたのに?
台風の足止めがあったので、タイムリミットを17日(日)夜の12時から18日(月)3時と3時間延長。
結局15名が見事完走。
15位の選手は18日2時過ぎにゴール。
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皆、私と同じ人間。
同じ日本人である。
プロではない、仕事をもった同じ一般人である。
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TJARの公式HPにある
「追いつめられる・・・、悲鳴をあげる・・・・、絶望的な・・・、何度も折れそうになる・・・・・、
目指すのはあの雲の彼方・・・・」
何回も何回も読み返したが、何回読み返しても心拍数が高くなる。
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人間の可能性、いや、そんな優しい言葉では表現できないだろう。
人間の限界への挑戦、生死の臨界点を見に行くレースだろうか。
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現在に自分のしている行為を振り返り、自分の甘さに愕然となった。
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夏期休暇最終日の昨晩は、
ネットで見るJTARのニュースを酒の肴に、缶ビールがやけにすすんだ。
久しぶりに私のハートをワシ掴みにした鳥肌ニュースであった。