新技術導入
医学の進歩は目覚しいなんてことは私が言うまでもない。
しかし、新しい技術が発表され、お~~すげ~~と思っても、いざ自分がその医療を施す、または自分がその医療を受けるとなると・・・・・・・、現実に自分が絡んでくるとなると・・・・・慎重になってしまう。
さて、学会では、エビデンスレベルと推奨度という指標を作り、その論文なりの信頼度を分かりやすく評価してくれている。
エビデンスレベルは最高が1+ ついで1,2+,2,2-,3,4,5,6と続く。
推奨度は最高がグレードA ついでB,C1,C2,Dと続く。
つまりグレードA,エビデンスレベル1+が最も信頼度が高く、グレードD,エビデンスレベル6が最も信頼度が低い、ということになる。
また、インプラント治療を例にとると、材料、技術ともに年々進化しており、次々に新製品が世に出て来て、情報も常に更新され続けている。
技術面では、コンピューターの3D技術の進歩により、シミュレーション技術が格段に進歩している。
それによりテクニカルエラーの少ない安心・安全・短時間の手術が可能になってきた。
テクニカルエラーが少ないとは、誰がやっても同じような結果が得られるという意味であり、手術経験が豊富で、手先が器用で、豊富な知識を持つごくごく一部の外科医、世間で言う ”神の手” を持つ外科医だけが可能とされてきた治療が、ごく一般の外科医がやっても、ほぼ同じような結果が出るということである。
”神の手” を持ち合わせていない我々にとっては朗報である。
実はこの技術、今から10年ほど前から実用化されており、当時は、とうとう歯科治療もここまで来たかと感動したが、メーカーの方から、「丸山歯科医院も、この技術を導入してみませんか?」とお話しを頂いた時には、2,3歩後ずさりしてしまったことを覚えている。
上手くいけばい~が、もし上手くいかなかったら医療事故に発展してしまう、怖い!
そんな感情が、そ~させたのだ。
それから幾度となく導入のお誘いを受けた。
その都度、医局会議を開き、実際に導入している諸先輩方の意見・感想を聞いたり、テクニカルエラーの有無などを吟味し、慎重に慎重を重ね協議をして来たが、いつも ”今回は見送り” という結論であった。
しかし、あれから10年という歳月を経て、10年という時の試練を受け、機は熟したと判断できるようになって来た。
先日の医局会議で、再度、協議事項に挙げ、慎重に協議した結果、今回は前向きに検討することになった。
そこで、今晩、診療後にメーカーの担当者に、来て頂き、2時間以上も丁寧な解説・説明をしてくれた。
10年という長い時間を要したが、漸く丸山歯科医院でも導入することになった。
これなら信頼できる、これなら私自身も受けられると思える様になったからだ。