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2006年11月14日 (火)

生まれ変わる女

 私は以前、ある女性と付き合っており、自分の気の短さから些細な事で

この人を直ぐ怒っていた。  すると或る日この人が私の顔を見詰め大声で

  『私、今日から生まれ変わる。』といった。

女性は、私の気に入られるような女になると言っていると思い、ひどく感激した。

しかし、暫くすると、これはこの女性の口癖であることが、判った。

 私に怒られるたび『私、生まれ変わる。』を枕言葉のように繰り返すのであった。

この頃、私は結婚する気も無く、歳老いる母の事も気にならなかった。

こんな調子なので、暫くして、この女性とも別れてしまった。

 現在、私は母と二人暮らしをしてる為か、母の行動が気になり、これまた私の

気の短さから、『枕言葉女』同様、母の仕草を、叱りつけてしまうのである。

しかし、母は、けっして『私、生まれ変わる。』とは言わない。

それどころか注意した事を、一向に直そうともしない。

 こんな母との生活が、何年も続いた私も、ようやく十一月に、この母の面倒を

看てくれ、我家に入ってくれる女性と結婚することになった。

この事を母は、非常に喜んでくれた。 

 私は、母がこれほど喜ぶとは思わなかった。

そして、その時私は、『ハッ!』とした。

母は、私に怒られも、虎視眈々と、この時を待ち望んでいたのだった。

 そう、私が母好みの息子に生まれ変わる時を・・・・・

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           けっして生まれ変わることの無い女、母、礼子                 

    

    H・18・11・  歯科技工士・杉山禎宣