栄えある第1回症例発表会
今月から毎月第三火曜日午後1時から、症例発表会を行うことになった。
ドクターと歯科衛生士は、参加推奨(≒ほぼ強制参加)、その他のスタッフは自由参加。
発表の順番は、医局長の戸塚先生に委任。
医局長が、栄えある第1回の発表者に選出したのは、私。
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・・・・・・・という訳で、第1回の症例発表をさせてもらった。
今日の発表内容は、「Nothing症例」。
〝Nothing" とは、実際には、上と下の歯が、かなり離れていて、患者さんに上の歯と下の歯を接触させてくれと頼んでも、どうやっても接触させることは出来ないが、どう見ても接触させている跡が残っている症例である。
今回の発表は、奥歯を噛み合わせた状態で上下の犬歯が6㎜ほど開いており、患者さんに接触できないかやってもらうも、どうしても接触させることができない。
しかし、明らかに接触痕、すり減った痕がある。
型取りをして石膏模型で合わせてみると、上の犬歯のすり減った面と下の犬歯のすり減った面がピッタリ合うのだ。
臨床では、時々遭遇する症例である。
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実は下顎は、かなりたわむのである。
顎を大きく開口しただけでも、閉口時と比べ、奥歯では2~3㎜内側にたわむことが分かっている。
開閉だけで2~3㎜たわむので、夜間の就寝時の強い歯ぎしり、くいしばりでは、6㎜くらいたわんで上下の歯が接触するのは、何の不思議もない話だ。
ただ、覚醒時には出来ないと言うだけの話だ。
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就寝時の歯ぎしり、食いしばりの力の強力さを物語る事例である。
患者さんに、この話をすると、だいたい驚かれるが・・・・・・・・、骨は多くの方が想像しているより軟らかいのである。
下顎も硬いが、硬いのは実は外側の表面の一層だけで、その中はほぼ骨髄といって血管やら何やらが張り巡っている実に軟らかい組成であるのだ。この軟らかさが、様々な日常の衝撃を吸収してくれる優れもの素材なのである。
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今日は、加えてレントゲン読影の勘所も合わせて、説明し、栄えある第1回症例発表会とした。