基本の原則
隔週金曜晩は、医局勉強会の日。
今日の担当は私。
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選んだのは、「口腔インプラント治療とリスクマネージメント2015」
日本口腔インプラント学会が今年8月に発行した、47ページからなる最新号冊子である。
その序文の一部を紹介する。
「口腔インプラント治療は歴代の学会員の方々の努力によって歯科医療の中における地歩を着々と固めてまいりました。それにしたがって口腔インプラント治療は予想を超える広がりをみせ、多くの喜びと幸せを国民の方々に届けることができるようになりましたが、安全と安心に眼を向ける必要が併せて喚起されるようになりました。マスコミにより口腔インプラント治療の問題がしばしば取り上げられ、国民生活センターからの要望書が出されたのも記憶に新しいところです。・・・・・・・・・・」
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私が学生だった頃、口腔インプラントが日本に広がり始めた。
しかし、日本の大学では、一部の大学を除き、慎重論が根強く、我が母校でも、慎重派が大勢を占めていたと記憶している。
しかし、今では、口腔インプラントを否定する大学は一つもない。
それだけ、その臨床効果が証明され、認知されてきている。
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20年ほど前に、私が受講したインプラント講習会では、日本にインプラントを普及させたインプラントの第一人者である小宮山先生が、このような事をおっしゃった。
「インプラント治療は、歯科治療の中では、最高峰に位置する難易度の高い治療です。通常の歯科治療の基本、原理原則が十分にできるようになってから学ぶべき分野です。また、インプラント治療には、一切の妥協は許されません。妥協しなければならないなら、インプラント治療はしてはいけません。今後、インプラント治療が日本に根付くかどうかは、我々に掛かっています。・・・・・・」
心に響く言葉であった。
今でも鮮明に覚えている金言である。
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しかし、20年前に小宮山先生が懸念していたことがその後に起こってしまい、多くの国民の皆様に不安と誤解を与えることになってしまったのは、反省すべきである。
何事にも「基本の原則」なるものがある。
恵空館道場の檪村惠之助師範の口癖でもある
「基本の原則を忘れるな!」
の言葉が聞こえて来た。
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そんな言葉を頭に浮かべながら、今日の医局勉強会は進んだ。
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妥協の無い治療、妥協のない生き方・・・・・・・・・
出来たら、恰好い~~じゃないですか。
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・・・・でも言葉にするのは簡単だが、実際に〝妥協のない” 行為ってかなりの難題である。