いつもと同じ火曜日?
起床し、窓を開け外の空気を吸った後、良く冷えた牛乳をグッと飲み、体に起きたぞ!サインを送る。
最近の日課である。
毎日毎日同じ行動をする事で、心も体も自然に覚醒してくる。
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なんだかんだで運動できる状態になるまでには20分~30分を要する。
今朝は、ゆっくり約10キロの快適走。
火曜日朝の週課である。
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1日の中でも日課があり、
1週間の中でも週課がある。
月曜日から日曜日まで、毎週同じ曜日には、ほぼ同じ内容の運動をする様に心掛けている。
その方が、頭を使わずに済むので楽である。
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いつもの火曜日の様に、はばたき橋を渡り、自然の風を感じながら、腰に付けたポーチに入れた水分を時折補給し、気分良くゆっくりとジョギング。火曜日は晩のチャレンジスイムのためにスタミナを残しておかなければならないので、スタミナ温存走法である。
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さて、帰りの道中での出来事・・・・・。
歩道を気持ち良く走っていると、前から来た車がウィンカーを出し減速し始めた。
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私は気持ちよくマイペースで走っている。
しかし、曲がろうとしている前の車の男性には、そのマイペースが気に障ったのだろうか、こちらを睨んでいる様だ。
タバコを持った右手を全開した窓から出し、煙たいのか目を細めて、ブツブツ言っている。
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車の近くに行った時に、内容の一部が聞こえた。
「・・・・から、何タラタラ走っててんだ、この野郎~~」
・・・・の内容は聞き取れなかったが、察するに、朝っぱらから・・・・とでも言ったのだろうか。
そんなことはど~~でもい~~~。
しかし、世の中には、かくも乱暴なお言葉を発する方もいらっしゃる様だ。
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ルパンもそ~~であるが、私も動物である。
野生の本能なる物がある。
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無意識に相手の総合格闘能力を即座に自分なりに判断してしまう。
もっと分かり易く言えば、この相手と闘って勝てるかどうかという判断である。
格闘技好きな人を話すと、良くこの内容で盛り上がる。
格闘技経験がある人なら分かると思うが、相手の急所や弱点、どこをどのように攻撃すれば最も効果的かをついつい考えてしまう。
職業病に似た格闘技オタク病であろうか。
勿論、頭の中で思うだけである。
行動に移す勇気もないし、行動に移す理由もないし、行動に移すメリットも見つからない。
一種の習癖であり、頭の中のお遊びに過ぎない。
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しかし、体は正直である。
目と目が合った瞬間、若干であるが私の眉が中央下方に移動し、これまた若干ではあるが重心が自然に落ちたのを自覚した。
ほんの、ほんの一瞬ではあるが、睨んでしまった。
私の脳が、万が一の事態に発展した場合〝いける” と判断したのだろうか。
それとも、脳が発した緊急警報に体が即座に反応しただけなのだろうか。
理由は自分でも分からないが、体が反射的に反応したのは事実である。
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勿論、何もしない。
人間の体は正直であり、相手を見て、場合によっては丁重に謝ったり、全力で逃げることも出来ただろう。
しかし、今回は敢えて、そのままマイペースを貫いてしまった。
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別に悪い事はしていないとの自信があったのも事実である。
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しかし、そのままジョグを続けるうちに、自分の器の小ささに反省の念が湧いて来た。
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日本空手協会では稽古の最後に正座して皆で5つの道場訓を復唱することになっている。
その最後に〝血気の勇を戒めること” とある。
生徒には「どんな事があっても、絶対にカッとなってはいけない。」と説明している。
更に「自分に自信のない奴がカッとなるんだ。立派な人間は決してカッとならない。カッとなるようでは、まだまま修行が足りない。分かったか!」と偉そうに付け加えている。
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相手を一瞬ではあっても睨んでしまった自分の器の小ささに猛省。
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相手のお方は、会社へ急いでらしたのだろう。
そんなお相手の方には、前方から能天気にゆっくりとジョギングして来るバカが居る、とでも映ったのではと察するべきであった。
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逆の立場なら、私でも「サッサと走れ!曲がれね~~じゃね~~か!こっちは急いでるんだぞ!」と思ったに違いない。
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先月の院内勉強会では、演者の川井さんに
「診療中だけでなく、日常から常に相手の気持ちになって考え行動・発言する習慣をつけるべきである。」との教えを受けたばかりなのに・・・・・、それなのに、それなのに・・・・・・・・。
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まだまだ、修行が足りなかった。
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さて、気分を取り直して帰宅。
玄関を開けると、その音を聞いて、
いつもの様に、ルパンが降りてくる。
いつもの様に、ルパンにリードを付け散歩に出掛ける。
朝・昼・晩と一日3回散歩するのが日課である。
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いつもと同じ場所で小便。
そしていつもと同じ場所でウンチ。
いつもと同じように、ウンチをビニール袋にしまい、いつもと同じ道を進む。
いつもと同じコースの散歩を終え、玄関を開けると、いつもの様に片方の靴をくわえて2階に上がるルパン。
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ちょっとしたイレギュラーはあったものの、かくして、いつもと同じ火曜日が始まった。