リベンジ ~〝三度目の正直"への道~
今朝5時50分起床。
私の勝負飯は、炊き立てご飯に卵を掛ける「卵ぶっかけご飯」である。
昨晩、6時に炊き上がるようにセットしておいた。
炊き上がりを知らせる音が鳴ったのを確認し、正に炊き立ての熱々のご飯を丼に盛り、その上に生卵を割ってのせる。
いつもの茶碗だと、卵を混ぜる時、はみ出してしまうのが嫌なので、卵ぶっかけご飯は丼にするのが私のこだわり。
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そこに醤油を垂らし、青ネギをトッピング。
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準備を整え、
「今日こそリベンジすっぞ!」
心の中で、こ~つぶやき、車を走らせた。
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向かった先は浜当目海岸。
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今日は〝浜当目スイムラン” の日だ。
まずは、仲間と記念写真撮影。
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さて、さて、あれは丁度一年前の大井川港トライアスロン大会での出来事。
スイムが苦手なY川さん、バイク(自転車)で一気に差を縮められ、ランで更に差を縮めて来た。そして、遂にラスト僅か、僅か500メートルの所で追いつかれ、追い越されてしまった。
しかし、私の背中をず~~っと追ってスパートをしてきたY川さん、かなりきついだろう。
負けてなるものかと、ややスパートを掛け、抜き返す。
気持ちなら負けないと、強い気持ちで、必死でスパートを掛けたが、ラスト200メートル、ゴールの目前である。そんな所で猛スパートを掛けられた、当然、私も最後の力を振り絞り頑張ったが、振り切られてしまった。
めっちゃ悔しかった。
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それから8カ月が経ち、そんな悔しさも忘れて臨んだ今春の静岡マラソン。
雨風が強く、とてもタフなマラソンであり、心が完全に折れかけていた39キロ過ぎ、前方に覚えのある背中を発見。
Y川さんではないか。
これは、リベンジのチャンスだ。
虎視眈々とチャンスを狙うが、足がなかなか前に進まないので、徐々に差を詰める。
そして、遂に約40キロの地点で追いついた。
「Y川さん、こんにちは。」
Y川さんも、ビックリしてくれた。
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明らかに、二人のギヤーが変わった。
ラスト2キロちょっと。
只でもきついラスト2キロを自ら更にきつい物にしてしまった。
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抜きつ抜かれつ・・・・・・・まさにデッドヒート。
今回こそは・・・・・と踏ん張ったが、またもや根負け。
2連敗。
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そんなライバルY川さんとの3度目の戦いがあるのだ。
3度目の正直、今日こそは・・・・・・・・。
強い気持ちで、臨むことにした。
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会場に着くと、直ぐにY川さんの姿が見えた。
挨拶をし、しばし歓談。
当然、過去2回の会話はその中に出てきた。
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今日は、1000メートルのスイムと近くの小山を登って降りる約10キロ(私の時計では9.20キロ)のランであった。
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スイムで差を広げないと勝ち目はない。
1秒でも早く・・・・・・、しかしスイム500メートルの折り返しでは、私の前方にいるではないか。
これはまずい、700メートルくらいの所でついに追いついた。スイムでは何とか勝った様だ。
トランジションでウェットスーツを脱いで、ランの恰好に着替え、走り始めた時に、まだY川さんの姿は海の中。
これはいける・・・・・・。
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折り返しは小山の上、後は下りである。
折り返して200メートルほど降りた所で、見たくないものが目に入った。
Y川さんである。
無表情なターミネーターが追いかけて来るような迫力が彼にはある。
ダダッ!ダッダダ!ダダッ!ダッダダ!
ターミネーターの音楽が頭に響いた。
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あと5キロ弱、いける、いける、そう自分に言い聞かせ落ち着かせる。
当たり前だが、Y川さんもきつい筈。
一気にスピードを上げる体力は残っていない。
1秒を刻む走りしかできないが、前へ、前へと心の中で連呼し、前に進む。
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今日のレースの面白い所は、信号待ちがある所だ。
2か所に信号がある。
最後の信号は、ゴールの500メートル手前である。
何とも嫌らしい地点である。
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その信号は陸橋を降りた所にある。
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その陸橋の階段を上った所で、ついにターミネーターに追いつかれてしまった。
ダダッ!ダッダダ!ダダッ!ダッダダ!
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信号は赤信号。
信号係りの方が赤旗を上げている。
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「またラスト勝負ですね。」
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係りの方の赤旗が白旗に替わる。
青信号である。
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ラスト500メートル勝負。
三度目の正直である。
ほぼ同スピードで進む。
50メートル地点で、私が仕掛けた。
息は苦しいが、同条件である。
100メートル、150メートル。
今日はいけるかも・・・・・・・・・。
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ラスト300メートルで追いつかれ、ラスト200メートルで猛スパートを掛けられ、ジ・エンド。
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「三度目の正直」 ならぬ 「二度あることは三度ある」
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こんなことってある~~~~~!
ク~~~~~~~~、悔し~~~~~~~~~!
レース後、Y川さんとツーショット写真。
バイクでは、彼には全く歯が立たないので、これにバイクが40キロ加わることを考えると、勝ち目はなさそうだ。
まだ若く記録も伸び続けている彼と、中年のおっさんで記録は下降気味の私とを比べると、分が悪い。
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もしかしたら、今日が最後の最後のリベンジのチャンスであったかも知れない。