第57回日本空手協会東海地区空手道選手権大会
今日は、掛川総合体育館さんりーなにて行われる日本空手協会東海地区大会に審判として参加した。
エンブレム、笛、ネームプレートをバッグに入れ、浅井先生宅、そして檪村惠之助師範宅に車でお迎えにあがった。
東海地区大会は4月に東海4県すなわち静岡県、愛知県、三重県、岐阜県の各県大会にて上位10名が集結し、形、組手の技を競い合う大会である。
朝8時45分、会議室にて審判会議が行われた。
私は、第4コートの審判。
第4コートは、高校生女子、高校生男子、一般女子、大学団体戦である。
午前中は形、午後は組手。
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選手は各県の代表である。
レベルは高い。
形は、形の意味を理解していないとジャッジができない。
組手は組手で、高校生以上となると力強く、スピードもある。
ワールドカップもそうであるが、その結果で、その選手人生をも変えてしまうこともある。
それだけにミスジャッジは許されない。
公認審判員として気持ちを入れて臨ませてもらった。
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しかし、今日の体育館の中は蒸し暑かった。
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一般女子組手の決勝戦の主審を命じられた時は、気持ちが最高潮に達した。
女子とは言え、スピードもあるし力強いので、一歩間違えると大けがが発生してしまうし、決勝戦のため注目度も高く、観戦者も多いからだ。
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さて、我が日本空手協会は「スポーツ空手」に対し「武道空手」を提唱している。
簡単に言うと、スポーツ空手は勝敗を目的としたスポーツ。
武道空手は人格形成を目的としている武道(武士道)である。
話せば長くなるので、簡略したが、それだけにルールも他の流派とは一線を画している。
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組手は、一本勝負にこだわり、審判規約には、
①技の強さとコース
②適正な間合いとタイミング
③正しい姿勢と立派な態度
④充実した気魄と残心
⑤目標の正確な把握
この5項目が全て極まった技を一本とするとある。
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当然、ガッツポーズは禁止されている。
③の〝立派な態度”に抵触するからだ。
更には、④の〝残心” これまた語ると何時間もかかってしまう事なので、簡単な説明になるが・・・・・・・・・・・・・。
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例えば、技が極まった、相手が倒れた、緊張を解いた、一瞬気を抜いた、その瞬間を突いて相手が再び起き上がって殴りかかってきた、やられた・・・・・・。
やられた=死である。
実戦では、敵は一人とは限らない。
四方八方の敵を想定しなければならない。
目の前の敵を倒し、安心した瞬間、後ろからパコンっと殴られたら、コントの世界である。
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「まさか、あそこで・・・・・」
よく聞く敗者の弁である・・・・・・・。
真剣勝負の「まさか」は、即ち「死」を意味する。
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人生に「まさか」は付き物である。
いやいや、〝まさかだらけ” と言った方が正しいかも知れない。
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技を出し終わった時、その技は死んでいる。
あらゆる一手先を想定したら、どのような行動をするべきか・・・・・・。
また、それは同時に見ている人に対し綺麗な立派な行動でなくてはいけない。
無様な恰好は見せられない・・・・、〝武士は食わねど高楊枝”精神である。
相手に対する敬意も忘れてはならないだろう。
礼儀は大事だ。
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まだまだ語ることは山ほどあるが、「残心」である。
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教本には「残心」の解説は記載されていない。
つまり、自分で考えなさい!という事だろう。
文章で書けるものでもないのだろう。
心を残す。
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奥が深い言葉である。
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全力を尽くしながらも心(余力)も残す。
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難題である。
難題であるが故に修行をする。
歯科診療でも、やはり「残心」は必要である。
その場の治療が終わっても、決して気を抜いてはならない・・・・・・・。
何が起こるかわからない・・・・・・・。
医療に「まさか」があってはならない。
また歯に対し敬意を払うことも忘れてはならない。
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空手道を通じ、勉強させて頂いた。
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空手道が、生涯武道と言われる所以であろう。
だから、空手はやめられない。
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生涯、修行である。