お地蔵さん
川除地蔵祭(通称:お地蔵さん)。
手帳の8月18日に欄を見ると、「お地蔵さん、朝7時45分集合、夕方まで」 と赤ペンで書いてある。
赤ペン、青ペン、緑ペンの3種類を使用しているが、赤は最重要、最優先事項を意味する。
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お地蔵さんは、組長の年間行事の中でも、最も大事な行事の一つである。
月一の組長会議でも、何回も打ち合わせを行って来た。
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さて、7時45分集合し、町内会長と組長で最終打ち合わせ。
8時に町内の皆さんが集まって来る。
原則全員参加。
間違いの無いよう、先週は、組員全員に確認の電話をしておいたが、組員の顔を見るまで、組長として心配になる。
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8時全員が集まり、お地蔵さんの飾り付けが始まる。
事前の十分な打ち合わせが功を奏し、スムーズに進む。
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飾り付けが終わると、テントを張り、ゴザと椅子をセッティング。
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私の最初の任務は、飾り付けの責任者。
飾り付けが終わると、次は帳場担当である。
帳場の仕事は、奉納金を町内の方から貰い、お返しにお菓子(今回は味噌饅頭)を渡す。
日中なので、直射日光が差し、座っているだけで、汗がにじんでくる。
厚めの長ズボンを履いて来てしまったので、暑くてたまらない。
合間を見て、家に帰り、半ズボンに着替えて来た。
半ズボンにしただけで、体感温度はだいぶ違う。
このズボンの交換が、後に大問題に発展することを、この時の私は知らない。
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和尚さんが来てお経をあげる。
次は組の方のお経が始まる。
祭典が終わったら、奉納金額と奉納者をパソコンに入力し、金額確認した後、プリントアウトして、お地蔵さんの小屋の中に掲示する。
今日は76人の方が奉納金を納めてくれた。
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そして、最後は、祓い、つまり、お疲れ様会である。
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何とか任務が遂行でき、ホッと一安心。
お腹も一杯になり、帰りに余った缶ビールを貰い帰宅。
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外は暑い。
クーラーの効いた家の中で、氷を一杯入れた冷たい水でも飲もうかな。
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鍵がかかっている。
ピンポ~~ン、ピンポ~~ン。
反応がない。
家族は外出中の様だ。
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仕方がない、鍵を開けるか。
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鍵はどこだっけ??
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確かズボンのサイドポケットに入れたよな~、そ~~そ~~、入れた、入れた。
サイドポケット、右のサイドポケットに入れたのをハッキリと覚えている。
サイドポケットは・・・・・・。
サイドポケットは、無い・・・・。
このズボンには、サイドポケットなんて無い。
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そ~~~そ~~~、熱くて途中で帰宅して、半ズボンに着替えて、サイドポケットの着いたズボンは食卓の椅子に掛けてある。
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と言うことは・・・・・・・・・家の中には入れない。
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マ・ジ・カ?
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やばくね~~。
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携帯でかみさんに電話。
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「もしもし、今どこ?」 (私)
「今、静岡。」 (かみさん)
「皓生、敦士は?」 (私)
「静岡の塾、なんで?」 (かみさん)
「鍵が無い。」 (私)
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暑い、喉が渇いた。
取り敢えず、近くの自販機で水でも買おうっと。
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財布は何処だっけ?
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財布は確か、ズボンの左のサイドポケットに入れた。
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このズボンには、右にも左にもサイドポケットはない。
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鍵もない、財布もない。
マ・ジ・カ!
マジである。
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こんな時は、緊急時対応マニュアル・・・・なんてないが、何とかするしかない。
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困った時は、セコムである。
セコムに電話すると、30分程で来てくれると言う。
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玄関先で、持っていた本を読みながら時間を費やすことに・・・・・。
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野外の読書も、案外 おつである。
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そ~~こ~~している内に、月光仮面、いやセコムの登場。
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セコムの車が駐車場に入って来た時、いつも以上に、セコムの車が輝いて見えた。
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急いで2階に上がると、問題の長ズボンが、素知らぬ顔して椅子で休憩している。
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サイドポケットの中に手を突っ込むと、当然だが、問題の鍵が出てきた。
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こんなに鍵が愛おしく思えたのは、産まれて初めてである。
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