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2013年8月 7日 (水)

ぺリオ勉強会

毎月最低でも一回は、ぺリオ(歯周病)勉強会をしようとユー(戸塚先生)と約束した。

最終水曜日が丸山塾なので、その他の水曜日で2人の都合が合う時にやろうと立ち上げた気ままな勉強会である。

今月は今晩行った。

7時30分開始。

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題材は私が事前に決めている。

今回は日本歯周病学会誌の症例発表を題材にすることにした。

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歯周病は、様々な歯周病原性細菌の複合感染により起こることが多い。

中でもActinobacillus actinomycetemcomitans(A.a.菌)はせん毛をもち歯肉組織にくっつき、さらに白血球毒をもち白血球の働きを低下させてしまいうため、貪食しようとしてくる防御細胞から身を守り、内毒素やその他の毒素により歯周組織を障害してしまう非常に恐ろしい細菌である。

侵襲性歯周炎と呼ばれ、急速に歯槽骨を破壊するのが特徴である。

年齢の割に・・・・・・・

歯ブラシが人並みに出来ている割に・・・・・・・・

歯石もさほど付いていないのに・・・・・・・

というのが視診の特徴でもある。

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このタイプの歯周病に罹患した場合は通常の歯周病治療では対応できないのだ。

あれよ、あれよと言う間に、歯がグラグラになってしまい、気が付いたら、部分入れ歯から総入れ歯に・・・・というにも珍しくない。

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当歯科医院でもこの稀なタイプの歯周病患者が、年に5~6人来院される。

つい先日も来院され、現在治療方針を、担当医の戸塚先生と検討中である。

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今日の題材は、このタイプの歯周病治療方法についてである。

日本歯周病学会誌の最新号に、新潟大学歯学部歯周病学講座の先生の治療方法が症例発表の形式で掲載されていたので、これを参考に議論した。

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現在、丸山歯科医院で行っている治療方法と大きな違いはなかったが、細かい所では違いがあったので、その点についても話し合った。

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教科書、成書、論文、専門誌を読むと良く「リスクファクター」という言葉が出て来る。

字の如く、日本語では「危険因子」となる。

治療の成功を阻害する因子のことである。

この因子が、その患者さんにどれだけあるかということを事前に診査し、治療に踏み切るか否かを判断する材料になる。

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例えば、歯周病治療では、「喫煙」「糖尿病」「自己免疫性疾患」・・・・・・などがリスクファクターと言える。

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しかし、中でも一番大きなリスクファクターは、「患者さんご本人の治したいと思う気持ちがない」ことである。

何事でも言える事ではあるが・・・・・・・・・。

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患者さんの中には、「一生懸命頑張りますから、治して下さい。」とやる気を見せてくれる患者さんもいれば、

「歯の治療は、あまり好きじゃね~から、そこまでしなくてい~~よ、先生。駄目なら駄目で、しょうがね~で~な~。そん時は入れ歯なら入れ歯でい~~よ。」という患者さんもいる。

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残すためには、治療来院回数、治療費、ご家庭でのセルフケア(歯ブラシ)、さらには生活習慣の改善など、それ相応の負担が患者さんにかかるので、そこは十分に話し合った上で、治療方法を決める必要がある。

選択権は、あくまで患者さんご本人にあるので、患者さんのオーダーに従い、最善を尽くす、我々が出来るのは、これだけである。

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歯周病治療と言っても、患者さんの要望に副った治療方法を選択しなくてはいけないので、非常に奥が深く、それだけに面白い治療である。

算数の様に、1+1=2とはいかない所が面白い。

「考える力」つまり「臨床力」を問われる分野である。

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今日は、そんないろいろな議論をして午後9時30分、2時間のぺリオ勉強会を閉会した。

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