30キロ走
ロンドン五輪で一番応援していた選手が、小原日登美選手だ。
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彼女の五輪までの「聞くも涙、語るも涙、涙無しには語れない」道のりを聞いて、ファンになってしまった。
最初で最後の五輪、見事金メダル、目頭が熱くなってしまった。
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さて、今日は休診日だが、スケジュール帳にはビッシリとやりたいことが書かれている。
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優先順位を決める。
17時30分~19時まで空手。
10時~13時まで30キロ走。
これは外せない。
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それ以外の時間に、30分刻みでスケジュールをぶち込む。
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どうして10時からの30キロ走かと言うと、昨年の8月第二木曜日に10時から30キロ走をした記録がスポーツ手帳に書いてあったからだ。
スポーツ手帳にはこう書いてあった。
体重56.2キロ、30キロ走実施、1キロ5分30秒を目指すも、暑さで足が前に出ない、結局1キロ5分56秒、2時間58分6秒でなんとか完走、バテバテ、きつかった、と記載されていた。
今日は、1年経っての成長を確認するためのチャレンジである。
目指すは1キロ5分30秒だ。
どんぶり飯2杯とウィダーを一本飲み、10時にスタート。
コースは昨年同様、自宅から港湾道路を5キロ上り帰って来る往復10キロを3往復。
なぜかというと、自宅前に、クーラーボックスを置き、10キロ毎に飲料水補給と頭から冷水をぶっかけることができるからだ。
この暑い時期の日中は、こういう配慮がないと熱中症になってしまうのだ。
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最初の10キロは1キロ5分15秒のペース。
足も軽いし、い~感じで、2往復目に入る。
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日差しも強く、暑い。
体がだるい、足がずっしりと重たく感じる、なんとなく右手の指がしびれているような感じがする。
もしかして熱中症の初期症状か?
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急に弱気になる。
スピードも1キロ6分30秒にまで落ちている。
きつい。
1キロ6分30秒というスローペースなのに、脈拍は165である。
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調子が良い時なら4分30秒が出せる脈拍である。
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「無理したら駄目だ!今日は20キロで止めるか!」
「何を言うか!30キロ走ると決めたんだろ!」
「別にオリンピック選手でもないし、明日も診療があるから無理するな、20キロ走れば十分だ!」
「いやいや、きつい練習の先に、新たな自分が待っているんだぞ!気持ちの問題だ!」
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弱気の自分と強気の自分が、頭の中で会話をしている。
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15キロ過ぎ、さらに足が重くなってきた。
今日は体がおかしい。
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その時、頭に小原日登美のことが浮かんだ。
彼女の苦悩に比べれば、このくらいは乗り越えなければ・・・。
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結局、フラフラになりながら、何とか30キロ完走。
GARMINの時計を見ると、1キロ5分50秒、2時間55分14秒、平均脈拍164、1854キロカロリー消費とあった。
走る前は55.3キロだった体重が53.2キロになっていた。
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やはり、夏の日中のランはきつい。
体には悪いが、精神力は強くなる気がする。
いわゆる鍛錬である。
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完走後、冷たいシャワーを浴び、シャワーをマイク代わりに、自分で自分にヒーローインタビュー。
「丸山選手、見事30キロ完走、おめでとうございます。」
「ありがとうございます。」
「完走の感想をお願いします。」
「途中、暑くてくじけそうになったんですけど、深夜にも関わらず、日本で応援してくれている仲間、そして後援会の皆様の声援を力にかえ、何とか完走することができました。本当にありがとうございました。」
「まず、何をしたいですか。」
「そ~ですね、今日はまだまだやることが一杯あるんですが、アイスでも食べて、15分程ゆっくりしたいと思います。」