やせ蛙 負けるな一茶 これにあり
「やせ蛙 負けるな一茶 これにあり」有名な小林一茶の句だ。 | |
蛙の求愛活動の句である。メスを争ってさながら合戦のようになる。
これを見物に出かけた一茶、つい弱そうな奴の味方をしてしまう。 この背景には、彼の長子である千太郎が病弱だった、という事実も あるようだ。その命乞いという意味もあったのだが、残念ながら 愛児は生後一ヶ月で亡くなってしまったそうだ。 親が子を想う 深い句だ。
さて、今日から院長室に書を飾ることにしたのが、 亡き父が書いてくれた 「やせ蛙 負けるな一茶 これにあり」 である。 私には一つ上の兄がいる。 小学生の時から優等生だった兄とは対照的に私は劣等性であった。 中学生の試験答案を返してもらう時、「あなた、本当に彰一君の弟?」とよく言われたものだ。(大きなお世話だ、俺は俺、兄は兄とよく思ったものだ。) 兄はその後もエリート街道を走って行ったが、私はその後も冴えなかった。 そんな私が大学受験を控えた高校3年生、確か身長159センチ、体重44キロくらい、誰が見てもチビな高3である。ちなみに身長は22歳まで伸び、今は約164.6センチになった。 チビで劣等性の高3の息子を見るに見かね、父が、この書を書いてくれた。 それ以来、押入れに大事に保管しておいた。 高校3年の今頃の季節だろうか、ちょうど歯科医師になりたいと歯学部志望を決めた時期であった。 その時の自分の気持ち さらにその時の周囲の人間の応援を忘れないため、また、初心に帰るため、額縁屋に依頼しリフォームしてもらい、この書を飾ることにした。 |