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2015年7月24日 (金)

土用丑の日の出来事

午前中の最後の方の診療中の出来事。

20代後半の男性患者。

思った事をハッキリと言葉に表す患者さんである。

赤い顔をして診療室に入って来た。

仕事の合間を縫って、急いで来てくれたのだろうと判断した。

夕方や土曜日は大変混み合うので、ウィークデーの早い時間に、時間を作って来てくれる患者さんには感謝である。

さて、アシスタントは実習生。

静岡歯科衛生士専門学校の3年生が、丸山歯科医院に臨床実習研修をしている最中である。

緊張した面持ちで、アシスタントにつく実習生。

横には先輩の歯科衛生士が付き、指導している。

さてさて、この患者さんの今日の治療は、下顎の大臼歯の虫歯の治療。

深い虫歯があるので、歯根膜麻酔と言って、歯茎と歯の間の隙間に麻酔針を入れて麻酔する方法を選択した。

ガチガチの実習生。

臨床実習は、皆、こんなもんである。

緊張感は大事である。

「〇△さん、麻酔をしますね。」

「はい。」

・・・・・・・・・

「うがいをしますか?」

「します。」

・・・・・

うがいをした後に

「にげ~~~~!」

「麻酔液は苦いんです。すみません。」

「まだ、にげ~~!」

「舌は、前から甘味、塩味、酸味、苦味の味覚細胞があるんです。奥歯に麻酔したので、丁度、苦味の味覚細胞を刺激しちゃったんです。」

「それ、聞いた事がある。」

数回うがいをして、大きく息を吐いた。

うがいが終わったと判断した私は

「〇△さん、倒します。」

治療台の背もたれを倒した。

倒れながら患者さんの口が開いた。

「ウナギ食いて~~~!!」

「食べたいですね~~~。今日は土用丑の日ですもんね~。でも高くて庶民には高嶺の花ですよね~~。」

「でも、食いて~~~~!」

「ウナギのかば焼きのタレをスーパーで買って来て、それを温めてご飯に掛けて食べるのも、い~~っすよ。」

「確かに、ご飯がすすみますよね~。」

こんな他愛のない会話をしていると、緊張していた実習生もクスッと笑ってくれて、緊張がほぐれて来た様で、その後のアシスタントが実に自然にリラックスして出来た様だ。

ウナギのかば焼きのタレを買うお金があれば出来るが、もしタレを買うお金もなければ、最後の手段がある。

ご飯を持参し、直接、ウナギ屋さんまで出向き、お店の前で匂いを嗅ぎながら、そこでご飯を食べる。

天才バカボンの一コマである。

そんな話をしていたら、私自身が、妙にウナギが食いたくなってきてしまった。

雑念はいかん。

そ~~思い、邪念を振り払うため、昼休みはバイクを乗りにリバティーへ向かった。

汗をかけば邪念は無くなる!

そ~~信じて、必死でペダルをこいだ。

周りを見渡すと、誰も居なかったので、思わず叫んだ。

「ウナギ食いて~~~~~!」

帰宅後、冷凍庫を開けると、ウナギのかば焼きのタレがあった。

よ~~~~し!

右拳をグッと握りしめた。

夕ご飯が楽しみだ。