通が選ぶ750円の幕の内弁当
今日は、東京出張。
10年以上前に、原先生とペリオ(歯周病)講習会のコースを受講するため2年程かけて月に一回東京に通った時期があった。
その時の朝飯であるが、原先生は決まって750円の幕の内を買っていたので、私も合わせて買って食べていた所、いつしか、この750円幕の内弁当の虜になってしまった。
それ以来、新幹線に乗る時の弁当は、決まってこの750円の幕の内。
幕の内弁当の中では一番価格が安いが、高いのでは駄目である、この750円のじゃないと駄目なのだ。
という訳で、今日の朝食は、迷わずこの幕の内弁当。
味、量、内容ともに絶妙である。
揚げ物も入っているが、実にあっさりしており、後味が良い。
特に好きなものは、”わさび漬け”と”うぐいす豆”である。
甘いうぐいす豆は、途中途中で挟むと、何とも言えず食が進む。
また、わさび漬けも、途中途中で挟むと、何とも言えず口の中が引き締まり、これまた食が進む。
この二つが、この幕の内弁当の全体の味をグッと引き締めてくれ、この弁当の価値をグっと引き上げてくれるキーパーソンと言えるだろう。
さて、偶然だが、通路を挟んで横の席の見知らぬ乗客も、私と同じ、幕の内弁当を食していた。
上幕の内弁当やらなんやら1000円以上する弁当も沢山ある中、敢えてこの弁当を買うとは、この乗客は、ただ者ではない。なかなかの通のようだ。
見た感じも品があり、なかなか良い物を身につけており、スーツの着こなしもなかなかだ。
きっと位の高い方だ、この乗客を勝手ながら、”食通” に認定させてもらった。
そんな勝手な想像をして、幕の内を堪能していると・・・・・・・・。
な・な・なんと、うぐいす豆とわさび漬けという陰のツートップを残し、いや全く手すらつけず、蓋を閉め、軽くヒモで縛ったではないか。
そしてその乗客は、席を立って、通路を歩いて行った。
トイレだろうか。
マジか。
この乗客は通ではない。
ただ者ではなく無い、ただ者だ。
通、撤回。
勝手に通に認定し、勝手に通の認定を撤回させてもらった。
席を外している間、蓋を開けて、もらっちゃおうかと思ったが、私は ”品良く生きる” を今年の目標に掲げたので、はやる気持ちをグッとこらえた。
品のある方は、決して物を残さない。
そ~心で呟き、品ある私は綺麗に完食し、綺麗に紐で縛り、手と手を合わせた。
ご馳走様でした。