心のこもった礼
はっきりしない天気となった。
休日の楽しみは、やはりジョギングである。
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雨の合間を縫って、ペットボトル片手に、気の向くままに家を出発。
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丁度、藤枝駅北口を通りがかった時、ある光景を目にした。
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スーツ姿の、そ~~年の頃は30代半ばから後半くらいの男性。
その男性が、深々と頭を下げている。
綺麗なフォームであった。
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どうやらタクシー乗り場で、お客様だろうか、タクシーのお見送りをしているのだろう。
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空手も礼に始まり礼に終わる。
礼というのは気持ちがこもっていないと直ぐに相手に伝わってしまう。
子供にも気持ちを込めて礼をしろ!と口を酸っぱくして言っている。
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さて、このスーツ姿の若者の礼は、実に品があるように私の目には映った。
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思わず足を止めて見入ってしまった程だ。
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タクシーは左折し、その姿は見えなくなった。
それでも、その若者は直ぐに頭を上げることをせず、暫くして、ゆっくりと頭を上げた。
実に品がある。
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そして、軽く深呼吸をして、タクシーが消えて行った方向を見て、もう一度ゆっくりと深々と頭を下げた。
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そして、地面に置いたバッグを持ち上げ、藤枝駅構内へ、ゆっくりと消えて行った。
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実に心のこもった礼であった。
こやつ、できるな!そ~~思った。
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天気は曇っていたが、この光景を見て、私の心は実に晴れ晴れとした。
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実に、い~~~物を見させてもらった。