頑張る姿は美しい
開業当初から来院して頂いている患者さんが来院した。
８８歳の女性である。
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脳血管障害による半身麻痺のため、ここ数年は車椅子での来院である。
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「人様に迷惑を掛ける訳にはいかない。」
これが、この患者さんの口癖である。
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お口の中を拝見すると、治療が必要な箇所が数カ所あった。
「ここと、ここと、ここを治療した方が良いと思いますが、ざっと計算して回数が８回くらいかかりますが、どうしますか？」
「自分一人じゃ来れない体だから、送迎してくれる家族に迷惑を掛ける訳にはいかないから、
今日だけで出来る所でいいよ先生。」
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待合室の家族の所に行くと、「何回でも大丈夫ですよ。」と笑顔で即答してくれた。
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今日の治療が終わり、診療台から車椅子に移動する際、手を貸そうとすると、
「人様に迷惑を掛ける訳にはいかない、自分で出来る事は自分でせにゃ～しょうがない。
先生、絶対手を出さないでおくんなさい。」
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かなりの時間をかけ、何か呪文のような言葉を小さな声を発しながら、自力で車椅子に移動。
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何を言っているのか、耳を澄ますと、こ～～言っていた。
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「が～んばれっ！が～んばれっ！が～んばれっ！が～んばれっ！・・・・・」
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私も、心の中で、叫んだ。
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「が～んばれっ！が～んばれっ！が～んばれっ！が～んばれっ！・・・・・」
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頑張る姿は美しく、感動を与える。
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