進学の坂
今回は、是非行ってみたい所があった。
「進学の坂」である。
「進学の坂」と言ってもわからないと思うので、説明をしよう。
歯学部は6年制であり、我が九州歯科大学は最初の2年間は近くの「山の上にある進学課程」で、英語・ドイツ語・数学・物理・政治経済・・・・・と言ったいわゆる一般教養を身につけるのだ。2年終了時の試験に見事パスすると「山の下の専門課程」に進学できるのだ。ここから歯医者の勉強が始まるのだ。
学生時代は、進学課程の2年間は山の上にいることから「山猿」と呼ばれ、下山とともに「人間に昇格」と言われていた。
当時の九州歯科大学は上下関係が非常に厳しく、2年生は山の上では最上級生であることから「ボス猿」と呼ばれていた。しかし3年生になり下山した瞬間に人間界の最下級生になり、先輩にペコペコ、先生にペコペコ、腰が痛くなるくらい頭を下げたもんだ。
その70メートルくらいあるだろうか「進学の坂」を16年ぶりに登ってみた。山の下の人間界は全て新しくなってしまったが、坂を含め山の上の猿の世界は全てが昔のままで安心した。
全てが近代化された人間界よりも、この猿の世界の方が妙に心地よかった。新しいものだけがいいものではないと改めて考えさせられた。